そもそものフルートはD管であり、その低音域を拡張する目的で後に足部管を継ぎ足した姿が標準的な現在の姿になったのであるが、現在は移調楽器としてみなされてはいないものの、古来の姿のまま足部管を持っていないピッコロやフラウト・トラヴェルソの最低音がD音であるのは、その名残である。
現代のフルートにおいては足部管が標準的に使用されているが、足部管は胴部管と同じ内径の円筒形で、3つないし4つのトーンホールを持つ。
そのトーンホールが3つの場合はC足部管と呼ばれ、そもそもの最低音D4から下部に拡張された最低音はC4である。
トーンホールが4つの場合はB足部管(日本ではドイツ音名に由来してH(ハー)足部管(H-Fus)と呼ぶ場合もある。
アメリカの楽器メーカーの場合はB foot jointと表記)と呼ばれ、そもそもの最低音D4から下部に拡張された最低音はB3である。
B足部管を用いると全体の音色はやや太く強めになるといわれ、リングキーにする場合も多い。
また、高音域が安定する(逆にいえば変化をつけにくい)ともいわれている。
B足部管を用いることによって一部の運指は影響を受ける。
標準的なC7の運指、およびいくつかの替え指とトリルの運指がこれに該当する。
もっとも一般的にフルートに使われているタンポは、フェルトにフィッシュスキン(動物の内臓の皮から作られているものもフィッシュスキンと呼ばれる。)を巻いたものである。
トーンホールを容易に塞ぐことの出来る点、響きを止めない点、湿気や水分にも極端に反応しにくい点等から上記の材質が一番優れている、というのが使われる理由である。
これは金属のフルートをT・ベームが開発した時代から変わっていない。
素材に関しては現代においてあらゆるもの(ゴム、シリコーン、コルク等)が実験されているが音色、扱い、加工等問題の面から未だフェルトを超える材質が見つからないと言うのが現状である。
タンポで有名なメーカーとしては「ストロビンガー・パッド」を開発したアメリカのストロビンガー社がある。
カバードキー(クローズドキー、ジャーマンモデル、ジャーマンスタイル):キーに取り付けられたタンポでトーンホール全体をふさぐのに対して、リングキーの楽器ではトーンホール上に指が置かれる5つのキー(右手の人差指、中指、薬指、左手の中指、薬指)に穴があいており、通常はキーとともにその穴をふさいで演奏する。
リングキー(オープンキー、オープンホールシステム、フレンチモデル、フレンチスタイルともいう):特徴は軽く明るい音色である。
穴をふさぐ程度を変化させることによって、ポルタメント、微分音程などの技法が楽に演奏できるようになるほか、ピッチ調節などのための替え指もカバードキーより多く利用できる利点があるが、穴を正確にふさがなければならないため、手が小さい場合には演奏が難しい場合もある。
また重音のための特殊な運指の幅も大きく広がる。
リングキーという呼び方は本来クラリネットやオーボエにあるような、細くてパッドを含んでいないキーのことを指し、フルートに使われているものは厳密には「パーフォレーテッド・キー (perforated-key)」と呼んで区別されるが、一般的にはフルートの場合もリングキーと呼ばれている。